Revitプロジェクト間のデータ移行完全ガイド|設定だけ?モデルごと?データ移行可否一覧付き

Revitで作業していると、あるプロジェクトから別プロジェクトにモデル要素や設定などを移行したい場面があります。
ただ、何を移行したいかによってやり方が異なったり、移行できないデータがあったりします。
そこで、どのデータがどの方法で移行できるかをわかりやすくまとめてみました。


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1. データ移行の方法は主に2通り

① プロジェクト転送機能を使う

  • 「転送プロジェクト標準」を利用
  • 設定やスタイルのみ移行可能
  • 実際のモデル要素は移行できない
  • 注釈は「スタイル・設定」だけ移行

② コピー&ペースト

  • モデルや注釈の内容ごと移行可能
  • 座標や依存関係、使用するファミリを確認して作業する必要あり

要するに、
「設定だけ欲しい」のか、「モデルごと欲しい」のかで方法を選ぶ、ということです。


2. プロジェクト転送で移行できるもの

プロジェクト転送は、設定やスタイルを別プロジェクトに引き継ぐ場合に使用します。
モデル自体の移行はできません。

移行できる項目内容注意点
システムファミリ壁、床、屋根、天井などモデル要素自体は移行できない
注釈・文字スタイルタグ、寸法、文字、シンボルなど設定・スタイルのみ移行
マテリアル・塗りつぶしパターン仕上設定やレンダリングマテリアルモデルに適用されているマテリアルは移行されない
ビューテンプレート・ビューフィルタ表示設定や色分けルール既存ビューの表示スタイルを引き継ぐ
スケジュール(集計表)集計条件やフィールド設定集計データそのものは移行されない
プロジェクトパラメータカスタム項目(共有パラメータは別管理)共有パラメータは別管理が必要

ポイント

  • 設定の引き継ぎに特化しているため、モデル自体を移したい場合はコピー&ペーストを使用する。

3. コピー&ペーストで移行できるもの

コピー&ペーストは、別プロジェクトにモデルや注釈を丸ごと移行したい場合に使用します。
ただし、すべてのモデル要素が移行できるわけではなく、依存関係やファミリの有無に注意が必要です。

移行できる項目内容注意点
モデル要素壁、床、屋根、天井、家具、設備などコピー先に同じファミリがあるか確認
注釈タグ、寸法、文字、シンボルなど参照する要素がコピー先にあるか確認
グループモデルグループ・注釈グループ座標や依存関係に注意
リンクファイル(Revitリンク)他プロジェクトや外部リンクコピー先でリンクパスを確認

モデル要素の詳細な可否

カテゴリコピー可否注意点
壁・床・屋根・天井ファミリがコピー先に存在する必要あり。依存するレベルや参照面も確認
柱・梁同じ構造カテゴリやファミリが必要。構造体連携に注意
家具・設備(ファミリ系)一部システムファミリやカスタムファミリはコピー不可
ドア・窓ファミリがコピー先にない場合、エラーになる
システムファミリ(床、屋根など)移行可能だが、注釈との連動や階レベルを確認
スケッチベースの要素(スラブ開口など)複雑な形状はコピーできない場合がある
リンクモデル上の要素×他プロジェクトや外部リンクの要素はコピー不可

ポイント

  • コピー&ペーストで移行できるのは「具体的なモデル・注釈・グループ・リンクなどのオブジェクト」
  • ビュー単体やシートは移行できない
  • 「〇:ほぼコピー可能」「△:条件付き」「×:コピー不可」と整理するとわかりやすい
  • コピー前にコピー先に必要なファミリやレベルが揃っているかを確認すると安全

4. もう一つの方法:リンク+バインドによる移行

実は、もう一つ「リンク+バインド」という方法もあります。
これは、移行元プロジェクトをRevitリンクとして読み込み、バインド(結合)して取り込む手法で、
プロジェクト全体をまとめて移行したい場合に使われます。

ただし、ファミリやパラメータの不整合など不具合が起きやすく、慎重な運用が必要です。

👉 詳しくはこちらの記事で解説しています:
Revitリンク+バインドでのデータ移行と注意点まとめ


5. まとめ

方法移行対象注意点
プロジェクト転送設定・スタイルモデルは対象外、共有パラメータは別管理
コピー&ペーストモデル・注釈座標や依存関係の確認が必要
リンク+バインドプロジェクト全体ファミリ・パラメータ不具合が起きやすい

ポイント

  • 「設定だけ欲しい場合」 → プロジェクト転送
  • 「モデルも含めて引き継ぎたい場合」 → コピー&ペースト
  • 「建物全体をまとめて移行したい場合」 → リンク+バインド(ただし注意)

Revitのプロジェクト間移行は、この3つを使い分けることで効率的に行えます。
特に大規模プロジェクトでは、まず転送でスタイルを整えてからコピペでモデルを持ってくる、という組み合わせも有効です。

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