Revitで施工図を分割して作成する場合、
「複製で作るか」「従属ビューで作るか」はよく迷うポイントです。
結論としては、境界で発生する注釈の調整量と、注釈を何回描くか で判断するのがベストです。
さらに実務では、全体図の扱いも考慮する必要があります。
index
分割図で発生する「境界の問題」
分割図どうしが隣接する位置には必ず重複する領域があります。
ここには寸法・タグ・注釈が必要ですが、扱い方によって作業量や手間が大きく変わります。
従属ビューを使う場合
メリット:注釈を1回描けば全分割図に反映
従属ビューは「1つの元ビューを複数の窓で表示する」仕組みです。
元ビューに描いた注釈は全従属ビューに反映されるため、
- 寸法
- タグ
- 注釈テキスト
これらを一度描けば済みます。結果として、
- 同じ注釈を何度も描く必要がない
- 修正漏れが少ない
- 分割数が多いほど効率的
となります。
デメリット:境界の重複部分での表示設定が手間
従属ビューは注釈を共有するため、境界付近で注釈が見切れてしまうことがあります。
その場合、
- 注釈の位置を微調整する
- 同じ注釈を二重に配置し、隣接するそれぞれのビューで表示/非表示を個別に設定する
などの作業が必要です。
手間は多いですが、一度設定してしまえば修正時にはラクです。
複製ビューを使う場合
メリット:注釈が独立しているため境界調整はラク
複製ビューは各ビューが完全に独立しているため、境界で注釈が勝手に切れたり映り込んだりすることはありません。
デメリット:重複部分の注釈をそれぞれのビューに描く必要がある
- 分割数や注釈量が多いと作業量が増える
- 修正時には重複箇所もそれぞれ別に修正する必要がある
実務での全体図の扱い
- 従属ビューは元ビューをそのまま全体図として利用できますが、シートに配置するときに縮尺を変更すると、分割図の縮尺も変わってしまいます。
- そのため、全体図は従属ビューではなく、複製ビューで別途作成する運用が一般的です。
迷ったときの判断基準
注釈量が多い → 従属ビュー
- 隣接辺で重複注釈が 5~10 個
- 9分割(3×3)の場合、重複注釈の総数は 120~240 個
- 複製ビューで入力すると膨大な作業になるが、従属ビューなら1回描くだけで済む
分割数が多い → 従属ビュー
- 分割数が増えるほど重複注釈の総数は急増
- 例:16分割(4×4)では重複注釈が 200~400 個以上 になる可能性
- 従属ビューなら修正漏れも防げる
境界の表示調整の手間を最小限にしたい → 複製ビュー
- 注釈が独立しているため、境界での表示/非表示や寸法切れの調整は不要
- 分割数が少なめ(2~4分割)、重複注釈が 5~10 個程度なら作業量は許容範囲
全体図を別縮尺で使う → 全体図だけ複製ビュー
- 従属ビューだと全体図の縮尺変更で注釈サイズが変わり、分割図に影響
- 複製ビューなら縮尺変更しても分割図に影響が出ない
実務上のまとめ
分割図の作業効率を優先 → 従属ビュー
- 注釈の入力は1回で済む
- 分割数が多い(5分割以上)の図面で特に有利
境界の表示調整を最小限にしたい → 複製ビュー
- 注釈は重複して描く必要があるが、境界部分の表示/調整の手間は少ない
- 分割数が少ない(2~4分割)場合は作業量が許容範囲
全体図の縮尺変更を考慮 → 複製ビューで作成
- 従属ビューだと縮尺変更で注釈が崩れる
- 複製ビューなら分割図に波及しない
